東京百舌

二枚舌ならぬ百枚舌です。適当なこと言います。人が言わないことを言うのが努力目標です。言いっ放しです。あしからず。

RSTとは? もしくは リーディングスキルテストとは?( 2016年12月31日版 )

どなたかの役に立つために書いています。

※ ここに書かれているのは、2016年12月31日前後の記録です。
※最新の記事はこちらです。

 

なぜ、話題なのか?

RSTによって、公立の中学生の
ほぼ半数の生徒が、教科書の内容が分からず、

2割の生徒は、そもそも文章そのものが読めていない

ことが明らかになってしまったからです。(予備調査において)



RST(リーディングスキルテスト)とは
RST(リーディングスキルテスト)とは、)とは、中高生を対象とした読解能力のテストで、
教科書や新聞、マニュアルや契約書などのドキュメントの意味および意図を、どれほど迅速かつ正確に読み取ることができるかの能力を測定するために国立情報学研究所(NII)社会共有知研究センターが考案したテストです。
※ NII社会共有知研究センター長は、新井紀子氏

 

RSTの特徴
このテストは、問題文の中に答えが書かれているのが特徴です。
文章をきちんと読むことができれば、そのことに関する知識がなくても解けるようになっています。
(※7)

 

RST(リーディングスキルテスト)の詳しい説明
リーディングスキルテストは、日常生活での経験や伝聞、小学校における学びから得られると考えられる範囲の知識および常識を前提とした上で、作問されています。
出題文は主として検定済みの中学、高校の教科書から採っています(国語と英語を除く)。一部、辞書から採ったものやNII社会共有知研究センターで独自に作成したものも含んでいます 。

現時点でのリーディングスキルテストは、11のプロセスが互いに連携しながら学習者の読解行動を支えているという仮説に立脚し、それらのプロセスが正しく行われているかをチェックするものとして設計されています。また、 問題を解く上では、問題が出題文のどの箇所を問うているかを認識するための「記号列の同一性を識別する能力」が備わっていることが、(11のプロセス以外にも)さらに必要となります。
現時点と書いたのは、今後、新しい知見の発見と共に考え方が変わる可能性があるからです。

11のプロセスとは以下の通りです。
1.文節に正しく区切る。(例:私は学校に行く。→私は/学校に/行く。)
2.係り受けの構造を正しく認識する。(例:美しい水車小屋の乙女。→美しいのは「乙女」である)
3.述語項構造や接続詞を正しく解析する。(「誰が」「何を」「どうした」のような構造を正しく認識する)
4.照応関係を正しく認識する。(例:私はハンカチを落とした。それを彼は拾った。→「それ」は「ハンカチ」である)
5.日常生活での経験や伝聞から得られる常識と、小学校における学び等から得た知識と、簡単な論理推論によって、未知の用語の意味を実世界に関する知識の中に位置づける。(語レベルのマッピング
6.日常生活での経験や伝聞から得られる常識と、小学校における学び等から得た知識と、簡単な論理推論によって、未知の関係や概念の意味を実世界に関する知識の中に位置づける。(文構造レベルのマッピング
7.既存の知識と新たに得られた知識に対して、論理推論を働かすことにより、実世界に関するさらなる知識を獲得する。
8.得られた多くの情報間の重要度を適切に付与する。特に、与えられた観点において、また問題解決の上で必要な情報を適切に取捨選択する。
9.同様のことを、図やグラフ等、ほかの論理的表象手段についても実行できる。
10.テキストと図やグラフで表していることの同一性を実世界の意味を介してチェックすることができる。
11.以上の各処理において誤りがないかをメタな視点からモニタリングして修正する。
詳細は『リーディングスキルテストで測る読解力とは』を読んでください。

 

RSTの所要時間
RSTの所要時間は、テスト版では20分程度。最終的には10~15分程度で計測できるようにするつもりのようです。
(※2)

背景
 Webから分かる事実関係は後半以降に書くとして前半は、ザックリと推理力と洞察力を駆使して説明したいと思います。以下、ご覧ください。「推理力って、イコール妄想のことだろ?そんな説明はいらない」というかたは、後半からご覧ください。

前半

第一段階 元々の兆候は、1990年代始めからありました。「あれれ?最近の大学新入生の学力って低下しているんじゃない?」

それから数年後、
1996年に「大学基礎教育アンケート調査」を行なったところ、
特に数学を理解するために必要な論理的思考力の低下や、抽象的な概念を理解することの困難を指摘する意見が多く出ました。
また、自分で考えることに消極的でパターン化された解法に頼る傾向や、知識に対する意欲の低下、問題を最後まで考え続ける忍耐力の低下なども指摘されました。
さらに、数学だけではなく、すべての学問の基礎として必要な日本語の読解力・表現力の低下について言及する回答者まで少なからずいました。
2000年を過ぎると、「入学試験や一年生の期末試験における数学の答案にまったく意味の通じないものが増え、どう対処したらよいか当惑している」という声も出始めました。
「どうしよう。大学生から、論理的文章を理解する力、論理を組み立てて表現する力が失われつつあるんじゃないの?」

第二段階 2011年に「(人工知能)東ロボくん」プロジェクト始動。人工知能東ロボくんは、東大合格を目指します。
同じ時期に、「大学生数学基本調査」も行いました。人工知能には難しいと言われる「意味がわかって考える」ことや「問題解決」などがどの程度できるか調べたかったからです。全国約50の大学の協力の元、6千人の大学1年生に数学の問題を5問出し、解答を調査をしました。すると、調査対象の大学生の三分の一が「平均」の意味を理解していないことなど、がわかりました。
「大学生ダメじゃん」「困ったなあ」

 第三段階 東ロボくんは論述問題が苦手です。「ならば、コンピューターと人間が手を取り合えば最強なんじゃない?」と、複数の進学校で、日本史教科書を自由に検索できる状況のもと、論述式の問題にどれくらい正しく答えられるかの調査をしました。すると、小論述でも正答率は半分以下、大論述になると歯が立たないという結果が出てしまいました。「あちゃ~、エリート、ダメじゃん」「コンピューター使いこなせて無いじゃん」

第四段階 東ロボくんの解答は、「世界史を理解しようともせず、ただ教科書を丸暗記して部分点を狙ってくる受験生の答案に似ている」と、採点をした人に言われていました。「ならば、本物の高校生たちは、どのように答えているのかな?」「第三段階で、論述問題がダメだったけど、そもそも論述問題を答える以前に、問題文自体を正しく読み取れているのかな?」と、今度は、1つの進学校の中高生に、教科書の読み取りにくい長文を提示して、それについて正しく読み取れているかの調査をしました。すると、約2割が誤答でした。誤答の理由を分析したところ「東ロボくんと同じ仕組みでの誤答」が目立ちました。「エリート、ダメじゃん文章を読み取れてないじゃん」「文章を理解せずにテクニックで対応しているんじゃないの?」「東ロボくんと同じで、理解できていない人いるじゃん」

第五段階 「エリートのはずの進学校で、読み取りにくい文章を読めていない生徒が2割もいたんだよね」「では、その2割の生徒は、簡単な文章なら読み取れるの?」「進学校でも、ロボット形式で読んでいる生徒がいるのであれば、普通の学校はどうなっているの?」「そもそも読めるって何?読解力って何?」「読解力って何かを定義して、テストを作って中高生の基礎能力を調査してみよう」
すると、公立中学では、ほぼ半分の生徒が、教科書の内容を読めておらず、約2割の生徒は、基礎的な読解力すら無いことが分かりました。
同時に進学校と普通校との間に読解力の差があることも分かりました。

第六段階 「軽く調査してみたらスゴイことになっている」「読解力の無い生徒が想像以上に多い」「なぜ、読解力が無いのかも分からない」「これだとAIに負ける」「それどころか勉強もできやしない」「英語?プログラミング?それ以前に、そもそも日本語を理解できていない」「生徒達の読解力向上が最優先課題だ」 今この段階です。

どうやら「大学生」→「進学校の高校生」→「進学校の中高生」→「普通校の中高生」と来ているようです。単純に考えると、このままだと次は「小学生」、そして「現役世代(=一般人)」になりそうな予感がします。

 後半
まず、RSTは、2011年に始まり2016年に終わった「(人工知能)東ロボくん」プロジェクトと関係しています。

RSTは「東ロボ」プロジェクトで中高生に実施したテストの発展系です。(※6)

「東ロボ」プロジェクトが終了した理由は、「AIは意味を理解しないまま、テクニカルに問題を解いて合格判定を獲得したが、英語の長文読解や物理の問題文の意味は理解できなかった。このままでは抜本的な成績向上は望めない。」と言ったものでした。
その時点での、東ロボくんの成績は、
センター試験模試「進研模試(ベネッセ)」において、「MARCH」「関関同立」などの難関私立大学の学科で合格可能性80%以上という結果を出し、
東大の2次試験を想定した論述式模試「東大入試プレ(代々木ゼミナール)」の理系数学でも偏差値76.2という記録を出しています。
その結果、高校生の8割がAI(東ロボ)に、敗れました。
そういった中で、「文章の意味を理解できない東ロボよりも、得点の低い高校生」の存在が問題視されるようになったようです。

これは、2015年11月14日、朝日新聞サイトに載った『「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」』ですでに取り上げられています。

 東ロボくんの(「東大入試実戦模試」の)答案を採点した予備校の先生は、「世界史を理解しようともせず、ただ教科書を丸暗記して部分点を狙ってくる受験生の答案に似ている」と喝破した。つまり、東ロボくんのような答案を書いて入学している受験生が相当数存在するのである。東大を始めとする難関大学にとって不幸なのは、どれほど丁寧な入試をしても、それに応えることができる受験生が減り続けているということだろう。


そういった中で、このままだと、

・中高校生が説明文を読めないまま、AIと似た問題解決をし続けた場合、2030年には、労働力不足と失業の問題が同時に起こる。

そのため

・教育改革の優先順位を科学的につける必要があるのではないか。
  小学校からの英語・プログラミング、中学校における基本的読解力の定着のどちらのほうが優先順位が高いか

(※5)
こういった経緯の中で、リーディングスキルテストが出てきたようです。

AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?』では、以下のように書かれています。

現段階のAIにとって、文章の意味を理解することは、不可能に近い。

しかし同時に、疑問に思ったことがある。

「文章の意味を理解できない東ロボよりも、得点の低い高校生がいるのは、どういうことだ?」
「この高校生たちは、文章の意味を理解できているのだろうか?」
「義務教育で、教科書の文章を読める力は本当についているのだろうか?」
私たちは、子どもたちが「読める」ことを大前提に話してしまう。
だから「わからない」と言う子に対して、大人たちは「ちゃんと読め」と言う。
「ちゃんと読めばわかるはず」という前提、それだけの読解力は備わっているという前提がある。
しかし、そもそも「読めて」いないのだとしたら?
どれだけ「ちゃんと」読んでもわからない。
社会が得意、算数が苦手という以前に、読めているかどうかを見る必要があるのではないか、と思うに至った。

ただ、どの時点でそう思ったのか、どの時点でリーディングスキルテストの開発を始めたのか、その際どのような議論があったのか等は、不明です。

先のページでは、

簡単に言うと、
小中学校の教科書に出ている知識だけを使い、
6分野のテストを行って、読解力を見る。
AIが比較的得意な3つの分野と、不得意な3つの分野だ。
AIが不得意なのは「推論」「イメージ」「具体例」の3分野。

と書かれています。ちなみに、AIが比較的得意な3つの読解力は不明です。

 

日経新聞2016/03/30ではこのようなインタビュー内容が掲載されています。

――上位層の読解力は落ちていないのでは。

  「東ロボくんは昨年、東大実践模試も受けた。世界史の配点26点の論述問題では9点を獲得し、平均の4.3点を上回った。答案に意味不明なところも多かっ たのに人より良かったのは、人も相当おかしなことを書いていたためと想像される。トップクラスの生徒の言語運用能力は落ちていないという想定は間違ってい ると思う

また、『東ロボくんの"苦手分野"を克服する|教育マルチメディア|教育家庭新聞』では、以下のような やり取りが掲載されています。

「言葉の重なりや文の長さが似ている『正誤判定問題』は、AIにとって難しい。『一単語』だけ異なる文章は、オーバーラップで判断すると、同じ意味であると判断してしまう。同義文判定や小論文も、絶望的に難しい」

その理由は「一切意味を理解していない」から。

ではなぜ、意味を理解できない「人工『無能』」が人間を凌駕したのか‐‐なぜ、意味を理解していなくても、受験生の上位2割の偏差値を獲得できるのか。

そこで新井氏は「中高校生は、入試問題や教科書の意味を正しく読めているのだろうか。読み取れていないのではないか」と考え、ある進学校(中学生計580 名、高校生計640名)を対象に、紙面あるいはタブレットで調査を実施。教科書に掲載されている、読み取りにくい長文を提示して、それについて正しく読み 取れているか否かを検証した。

すると、約2割が誤答であった。誤答の理由も分析したところ「東ロボと同じ仕組みでの誤答」が目立ったという。

これにより、優秀といわれている生徒であっても、「キーワード検索のように迅速に処理して文章あるいは相手の意図を誤解する場合がある」という傾向が明らかになった。

 この記事は2016年4月11日のものです。どうやら、こういった調査の中から、より基本的な読解能力をテストする必要が出てきて、RSTができてきたものと推測されます。

RSTの結果(予備調査 段階)

大まかにまとめると、

公立の中学生の

5割が、教科書の内容を読み取れておらず、

2割は、基礎的な読解もできていない

ことが分かっています。

進学校ではこれより良い結果が出ています。

3割が、教科書の内容を読み取れておらず、

5分(0.5割)は、基礎的な読解もできていない

詳細は、以下の通り

2015度に実施した予備調査では、
2の係り受け解析の問題において「ほとんど解けない可能性がある生徒」の割合は公立中学校で約20%、
4の照応解析の問題も約20%、
7の論理的推論では50%を超えました。

一方、受験を経て入学した県立の中高一貫校では、
2の係り受け解析の問題において「ほとんど解けない可能性がある生徒」の割合は約5%、
4の照応解析の問題は約4%、
7の論理的推論では約30%
と、公立中学校の結果との間に明らかな差が見られました。

(※1)

 

 ちなみに一般人を対象にしたものは、
「読売グローバル教育フォーラム」において6問のRSTを約650名の来場者に実施したものがあります。このとき、ほとんどの問題が6割以上(最高は85.1%)の正答率だったそうです。ただし、「~ように」「~ような」などのことばを使ってたとえる“直喩”が用いられている文章を選ぶ問題の正答率は、14.7%しかなかったそうです。これは、テストの時間が三分間で、一問三十秒で解かなければならない制約があったためかも知れません。

(※7)

 

読解能力に関わるもの

これまでの調査から、読解力に大きく関係するのはの量」「ワーキングメモリー(同時にいろいろなことができる力)」

(※3)

ワーキングメモリーの簡単なテストは下記でできます。

ワーキングメモリーの鍛え方は下記をご覧ください。

 

読解能力が低い理由

読解能力が低い理由は分かっていません。
読書が好きでも、塾に通っていても、教科書を理解できたと思っていても、読解能力が低い生徒がいました。性別も関係ありません。学年が上がっても読解能力は低いままです。少数のサンプリングながら大人でもかなり間違えるので、年代に関係無いかも知れません。

新聞を家でとっているかは関係しているようです。 ※ 新聞との関係は2017年9月の段階で否定されました。

 

一方、進学校の生徒では読解能力に高い結果が出ました。これは小学校高学年での読解能力の高さが、勉強や合格に影響を与えたのだと考えられます。

これらは、あくまで予備調査段階の結果ですので、今後 、問題の精査などで 変動する可能性があります。

何が読解力の低さにつながっているかについて、またその差がもたらす結果について、今後さらに調査を行います。

(※1、3)


問題サンプル

アミラーゼという酵素グルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
セルロースは(  )と形が違う。
 
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
Alexandraの愛称は(  )である。

※答えを知りたいかたは、後の『問題内容』のリンクから探してください。先にご自分の解答をメモしておくことをおすすめします。

 

問題内容
リーディングスキルテストの実例と結果
に具体例が出ています。
また、
AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース

AIが大学入試を突破する時代に求められる人材育成
にも具体例が出ています。


RST活動を通して目指すもの

中学を卒業するまでには、全員が教科書レベルの文章を「読める」ようにしたい。

AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース』より

 

RST実施組織と活動内容
中学卒業時点において、すべての生徒が教科書 を正確に読める力をつけていることを目指し、教育に関わる企業・団体などと共同 で産学連携の「教育のための科学研究所」準備協議会を2016年7月に設置し、以下の活動をすることになっています。

  1. 生徒が教科書の内容を正確に読み取れる力を測る「RST」を企画・実施し、テスト結果のデータに基づいて「なぜ読めないのか」という理由を分析
  2. 読解力の高低に関する要因の特定、診断方法の開発等を通じて欠けた部分を補う教育方法を考案し、読解力向上に向けて活動
  3. 「RST」の実施結果に関するデータベース等の作成 および 開発支援

参加企業・法人は以下の通り

上記の企業・団体に加えて、株式会社野村総合研究所 未来創発センターが協賛

今後の予定
高校生を対象とするリーディングスキルテストを2017年2月に実施予定
読解力の向上に向けた対応策について(国立教育政策研究所)』より
(「2月予定」を間違えて解釈していました。資料が2015年のものでしたので、2016年2月の誤りでした。)

50万人の試験データ収集を目標にしており、「タブレットを使った計測に参加できる中学・高校はぜひ連絡を」(2016年4月11日)
東ロボくんの"苦手分野"を克服する|教育マルチメディア|教育家庭新聞』より

 

2018年度から本調査に入ります。
東ロボくんの挫折に学べ  | 朝日学生新聞社 ジュニア朝日』より


企業の採用でもRSTが使われる可能性

一般企業の中にも、就活における適性検査に、このテストを採用しようとする動きが表れ始めている。

急速に普及する可能性がある。

 『AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース』より

 

RST以外の試み

RST以前にも複数の進学校に協力を得て高校生の能力を測る試みはしていたようです。

 ところで、私たちは人工知能を開発することと並行して、どれくらい人間は人工知能をうまく使いこなすことができるかに関する調査も実施している。

そのひとつが、日本史教科書を自由に検索できる状況の中で、高校生は論述式の問題にどれくらい正しく答えられるか、という調査である。
複数の進学校に協力を得て実施した結果、小論述でも正答率は半分以下、大論述になると歯が立たないという結果が出た。

悲しいことに、日本史を高校で選択したか否かは、正答率に何ら影響を与えなかった。スマートフォンやSNSを日常的に使いこなしているようにみえる高校生だが、該当箇所をうまく検索できず、仮に該当ページが表示されても、どこが答えとして適切な箇所か判断ができなかったのである。

『「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」』より、

高校生に与えられた問題とは、『東大の地理歴史の問題』のようなものだったのかも知れません。


また、「大学生数学基本調査」も2011年に行っています。

2011年の4-5月に2つのプロジェクト、「ロボットは東大に入れるか」と「大学生数学基本調査」を行いました。全国の約50の大学にご協力をいただき、6千人の大学1年生に数学の問題を5問出し、解答を調査しました。人工知能には難しいと言われる「意味がわかって考える」ことや「問題解決」などがどの程度できるか調べた結果、調査対象の大学生の三分の一が「平均」の意味を理解していないことなどがわかったのです。「困ったな」と思いました。

『Educo(エデュコ)2016年初夏号(No.40)』巻頭インタビューより

 

読解能力の問題を放っておくとどうなるか?

中高校生が説明文を読めないまま、AIと似た問題解決をし続けた場合、人工知能導入により、全世界の雇用の半分、約20億人の雇用が消えると予測されている2030年には、労働力不足と失業の問題が同時に起こる

だから2020年までに教科書を読める子供を育てたい。
(※2、4,5)
 

今、子供の親にできること ※ 新聞との関係は2017年9月時点で否定されました。

 

RSTの調査はまだ予備の段階なので、読解能力が低い理由は不明です。

そういった中で、同時に行ったアンケートの結果、読解力の高さと「読書が好きか」「塾に通っているか」「性別」には関係性が見られなかたものの、「新聞を家でとっている」には関係性が見られました。(※3)

また、進学校の生徒では読解能力に高い結果が出ています。(※1)

 

進学校に進む子供には小学生の内から小学生新聞を読ませている親がいることを考えると、小学生新聞は効果があるのかも知れません。費用は月々1,769~500円です。

小学生新聞から入って一般の新聞を読めるようになるのが理想だと思います。どちらも塾に通うより費用が少なくて済みます。それでも高いと思われるのであれば、毎週日曜にでも160円を出してコンビニで新聞を買えば良いと思います。ただ親が新聞を読まないのに子供にだけ読ませるのであれば、やはり無理があると思いますので、親子で一緒に読まれてはどうでしょうか?

小学生新聞を使った学習方法は下記ページが参考になります。

小学校以前のお子さんであれば、下記を読んで、語彙力を意識すれば良いと思います。
語彙力は小学校に上がる時点で9年分(9歳分)の開きができるそうです。

 

RSTの他の意味
・リセット
・Representative Selection Tournament
・三相電源の各相(RST)
・reStructuredText
・Respiratory Support Team(呼吸サポートチーム)
・Roudosyo Safety and health education Trainer(労働省方式現場監督者安全衛生教育トレーナー)
リーディングスパンテスト(Reading Span Test)

 

以上です。

文章に誤認箇所がある場合、正しい情報とそのリンク先を教えてください。文章を随時直していきます(たぶん)。

 

資料

1.『リーディングスキルテストで測る読解力とは

2.『東ロボくんの"苦手分野"を克服する|教育マルチメディア|教育家庭新聞

3.『東ロボくんの挫折に学べ  | 朝日学生新聞社 ジュニア朝日

4.『Educo(エデュコ)2016年初夏号(No.40)』

5.『AIが大学入試を突破する時代に求められる人材育成

6.『人工知能に勝つには「読解力テスト」から!?

7.『パネルディスカッション : 読売グローバル教育フォーラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

8.『リーディングスキルテストの実例と結果

9.『AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

その他 関連資料

↓ 最新の情報を基に書き直しました。