東京百舌

二枚舌ならぬ百枚舌です。適当なこと言います。人が言わないことを言うのが努力目標です。言いっ放しです。あしからず。

RSTとは? もしくは リーディングスキルテストとは?(2017年9月27日版)

どなたかの役に立つために書いています。

以前のものを書き直すのが面倒だったので歴史として残して、今回のものは、以前のものをコピーして修正しながら書いています。随時修正しています。

 

なぜ、話題なのか?

RSTによって、中学三年生の

ほぼ半数の生徒が、教科書の内容が分からず、
15%の生徒は、そもそも文章そのものが読めていない

 ことが明らかになってしまったからです。

 (2017年9月時点、約二万四千人の調査において)


詳しいテスト結果は後述します。



RST(リーディングスキルテスト)とは
RST(リーディングスキルテスト)とは、)とは、中高生を対象とした読解力のテストです。

教科書や新聞、マニュアルや契約書などのドキュメントの意味および意図を、どれほど迅速かつ正確に読み取ることができるかの能力を測定するために国立情報学研究所(NII)社会共有知研究センターが考案したテストで、
2015年に予備調査が行なわれ、2017年9月現在、約二万四千人分のデータが取得されています。

五十万人の試験データ収集を目標にしているそうです。


※ NII社会共有知研究センター長は、新井紀子氏

 

どのようにして読解力を測るのか?

簡単に言うと、
小中学校の教科書に出ている知識だけを使い、
6分野のテストを行って、読解力を見る。
AI(人工知能)が比較的得意な3つの分野と、不得意な3つの分野だ。
AIが不得意なのは「推論」「イメージ」「具体例」の3分野。

AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?』より
ちなみに、AIが不得意な「推論」「イメージ」「具体例」の3分野は、人も苦手なことが、リーディングスキルテストの結果から分かってきています。

6分野の説明は後述します。

 

RSTの特徴
このテストは、問題文の中に答えが書かれているのが特徴です。
文章をきちんと読むことができれば、そのことに関する知識がなくても解けるようになっています。
(※7)

 

RST(リーディングスキルテスト)の詳しい説明
リーディングスキルテストは、日常生活での経験や伝聞、小学校における学びから得られると考えられる範囲の知識および常識を前提とした上で、作問されています。
出題文は主として検定済みの中学、高校の教科書から採っています(国語と英語を除く)。一部、辞書から採ったものやNII社会共有知研究センターで独自に作成したものも含んでいます 。

現時点でのリーディングスキルテストは、11のプロセスが互いに連携しながら学習者の読解行動を支えているという仮説に立脚し、それらのプロセスが正しく行われているかをチェックするものとして設計されています。また、 問題を解く上では、問題が出題文のどの箇所を問うているかを認識するための「記号列の同一性を識別する能力」が備わっていることが、(11のプロセス以外にも)さらに必要となります。
現時点と書いたのは、今後、新しい知見の発見と共に考え方が変わる可能性があるからです。

11のプロセスとは以下の通りです。
1.文節に正しく区切る。(例:私は学校に行く。→私は/学校に/行く。)
2.係り受けの構造を正しく認識する。(例:美しい水車小屋の乙女。→美しいのは「乙女」である)
3.述語項構造や接続詞を正しく解析する。(「誰が」「何を」「どうした」のような構造を正しく認識する)
4.照応関係を正しく認識する。(例:私はハンカチを落とした。それを彼は拾った。→「それ」は「ハンカチ」である)
5.日常生活での経験や伝聞から得られる常識と、小学校における学び等から得た知識と、簡単な論理推論によって、未知の用語の意味を実世界に関する知識の中に位置づける。(語レベルのマッピング
6.日常生活での経験や伝聞から得られる常識と、小学校における学び等から得た知識と、簡単な論理推論によって、未知の関係や概念の意味を実世界に関する知識の中に位置づける。(文構造レベルのマッピング
7.既存の知識と新たに得られた知識に対して、論理推論を働かすことにより、実世界に関するさらなる知識を獲得する。
8.得られた多くの情報間の重要度を適切に付与する。特に、与えられた観点において、また問題解決の上で必要な情報を適切に取捨選択する。
9.同様のことを、図やグラフ等、ほかの論理的表象手段についても実行できる。
10.テキストと図やグラフで表していることの同一性を実世界の意味を介してチェックすることができる。
11.以上の各処理において誤りがないかをメタな視点からモニタリングして修正する。
詳細は『リーディングスキルテストで測る読解力とは』を読んでください。

 
さらに 新井紀子教授のツイートから補足

リーディングスキルテストは項目応答理論を用い、問題の難易度を受検者の能力値を測るように設計されています。そのため、問題は再利用されますので、一部の問題しか公開することができません。PISATOEFLや知能テストと同様です。

 

RSTで分かる6つの読解力

読解力は、「係り受け」「照応」「同義判定」「推論」「イメージ」「具体例」の6つ分野に分けられます。これらの能力は各々独立した能力です。

6つの読解力の説明は以下の通りです。

係り受けDEP)」―― 語句の間にある「修飾する」「修飾される」関係の理解
「照応(ANA)」―― 指示語や省略された主語が何を指しているかの理解
「同義判定(PARA)」―― 二つの文が同じ意味かどうかの判断
「推論(INF)」―― 論理や常識を使って文章を読み解けるか、文章で書かれていない部分(省略されている部分)を理解できているか
「イメージ(REP)―― 文章と図表が対応しているか
「具体例(INST)」―― 定義と具体例が対応しているか  ※具体例の問題は、さらに「辞書問題」と「数学」に分かれるそうです。

これら6つの読解力は、大きく2つに分けることができます。

文の表層的な情報を読み取れる能力として「係り受け」「照応」「同義判定」
文の意味を理解できる能力として「推論」「イメージ」「具体例」

 

RSTの所要時間
RSTの所要時間は、30分で、その間にできるだけ多くの問題を解いてもらっています。

背景
 Webから分かる事実関係は後半以降に書くとして前半は、ザックリと推理力と洞察力を駆使して説明したいと思います。以下、ご覧ください。「推理力って、イコール妄想のことだろ?そんな説明はいらない」というかたは、後半からご覧ください。

前半

第一段階 元々の兆候は、1990年代始めからありました。「あれれ?最近の大学新入生の学力って低下しているんじゃない?」

それから数年後、
1996年に「大学基礎教育アンケート調査」を行なったところ、
特に数学を理解するために必要な論理的思考力の低下や、抽象的な概念を理解することの困難を指摘する意見が多く出ました。
また、自分で考えることに消極的でパターン化された解法に頼る傾向や、知識に対する意欲の低下、問題を最後まで考え続ける忍耐力の低下なども指摘されました。
さらに、数学だけではなく、すべての学問の基礎として必要な日本語の読解力・表現力の低下について言及する回答者まで少なからずいました。
2000年を過ぎると、「入学試験や一年生の期末試験における数学の答案にまったく意味の通じないものが増え、どう対処したらよいか当惑している」という声も出始めました。
「どうしよう。大学生から、論理的文章を理解する力、論理を組み立てて表現する力が失われつつあるんじゃないの?」

第二段階 2011年に「(人工知能)東ロボくん」プロジェクト始動。人工知能東ロボくんは、東大合格を目指します。
同じ時期に、「大学生数学基本調査」も行いました。人工知能には難しいと言われる「意味がわかって考える」ことや「問題解決」などがどの程度できるか調べたかったからです。全国約50の大学の協力の元、6千人の大学1年生に数学の問題を5問出し、解答を調査をしました。すると、調査対象の大学生の三分の一が「平均」の意味を理解していないことなど、がわかりました。
「大学生ダメじゃん」「困ったなあ」

 第三段階 東ロボくんは論述問題が苦手です。「ならば、コンピューターと人間が手を取り合えば最強なんじゃない?」と、複数の進学校で、日本史教科書を自由に検索できる状況のもと、論述式の問題にどれくらい正しく答えられるかの調査をしました。すると、小論述でも正答率は半分以下、大論述になると歯が立たないという結果が出てしまいました。「あちゃ~、エリート、ダメじゃん」「コンピューター使いこなせて無いじゃん」

第四段階 東ロボくんの解答は、「世界史を理解しようともせず、ただ教科書を丸暗記して部分点を狙ってくる受験生の答案に似ている」と、採点をした人に言われていました。「ならば、本物の高校生たちは、どのように答えているのかな?」「第三段階で、論述問題がダメだったけど、そもそも論述問題を答える以前に、問題文自体を正しく読み取れているのかな?」と、今度は、1つの進学校の中高生に、教科書の読み取りにくい長文を提示して、それについて正しく読み取れているかの調査をしました。すると、2割が誤答でした。誤答の理由を分析したところ「東ロボくんと同じ仕組みでの誤答」が目立ちました。「エリート、ダメじゃん文章を読み取れてないじゃん」「文章を理解せずにテクニックで対応しているんじゃないの?」「東ロボくんと同じで、理解できていない人いるじゃん」

第五段階 「エリートのはずの進学校で、読み取りにくい文章を読めていない生徒が2割もいたんだよね」「では、その2割の生徒は、簡単な文章なら読み取れるの?」「進学校でも、ロボット形式で読んでいる生徒がいるのであれば、普通の学校はどうなっているの?」「そもそも読めるって何?読解力って何?」「読解力って何かを定義して、テストを作って中高生の基礎能力を調査してみよう」

2015年にRSTの予備調査が行なわれました。
すると、公立中学では、ほぼ半分の生徒が、教科書の内容を読めておらず、約2割の生徒は、基礎的な読解力すら無いことが分かりました。
同時に進学校と普通校との間に読解力の差があることも分かりました。

第六段階 「軽く調査してみたらスゴイことになっている」「読解力の無い生徒が想像以上に多い」「なぜ、読解力が無いのかも分からない」「これだとAIに負ける」「それどころか勉強もできやしない」「英語?プログラミング?それ以前に、そもそも日本語を理解できていない」「生徒達の読解力向上が最優先課題だ」 「もっと情報収集をしよう」

2017年7月現在、2015年度から収集しはじめた、全国の小中高校生や大学生、社会人ら約2万4千のデータが集まりました。

その結果、中学三年生の約15%は、主語が分からないなど、文章理解の第一段階もできておらず、約半数は、推論や二つの文章の異同などを十分に理解していないことが分かりました。

また、
基礎的読解力は中学では学年が上がるにつれて緩やかに上昇するが、高校では上昇していないこと、
高校の教科書が理解できず、力が伸びていない可能性があるということ、
基礎的読解力と進学できる高校の偏差値との間には、強い相関があるということ、
が分かりました。


どうやら「大学生」→「進学校の高校生」→「進学校の中高生」→「普通校の中高生」という順番で調査が進んでいるようです。

「大学生」では数学の基本、「進学校の高校生」では論述、「進学校の中高生」では読み取りにくい長文、そして、今、「普通校の中高生」で、簡単な短文でのリーディングスキルテストとなっているようです。

このリーディングスキルテストは、現在、小学生からテストを行なう自治体が出てきています(埼玉県戸田市)。

リーディングスキルが高校生であまり伸びないことを考えると、大人のリーディングスキルも、高校生とあまり変わらないことが予想されます。

RSTは、
コンピューターなどで言うところの「入力→内部処理→出力」を、
「 入力(読解力)→内部処理(思考力・創造力など)→出力 (文書作成能力)」としたとき、
人の入力する力を計るテストだと言えそうです。

つまり、2017年の中学三年生の15%が、思考力や創造性を発揮する以前に、教科書の情報を読み取る入力の段階で、つまずいてしまっているということです。

 

 後半
まず、RSTは、2011年に始まり2016年に終わった「(人工知能)東ロボくん」プロジェクトと関係しています。

以下のTEDでの映像で、新井紀子教授が「(人工知能)東ロボくん」からRST、そして浮かび上がった課題まで手短に語っています。


RSTは「東ロボ」プロジェクトで中高生に実施したテストの発展系です。(※6)

「東ロボ」プロジェクトが終了した理由は、「AIは意味を理解しないまま、テクニカルに問題を解いて合格判定を獲得したが、英語の長文読解や物理の問題文の意味は理解できなかった。このままでは抜本的な成績向上は望めない。」と言ったものでした。
その時点での、東ロボくんの成績は、
センター試験模試「進研模試(ベネッセ)」において、「MARCH」「関関同立」などの難関私立大学の学科で合格可能性80%以上という結果を出し、
東大の2次試験を想定した論述式模試「東大入試プレ(代々木ゼミナール)」の理系数学でも偏差値76.2という記録を出しています。
その結果、高校生の8割がAI(東ロボ)に、敗れました。
そういった中で、「文章の意味を理解できない東ロボよりも、得点の低い高校生」の存在が問題視されるようになったようです。

これは、2015年11月14日、朝日新聞サイトに載った『「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」』ですでに取り上げられています。

 東ロボくんの(「東大入試実戦模試」の)答案を採点した予備校の先生は、「世界史を理解しようともせず、ただ教科書を丸暗記して部分点を狙ってくる受験生の答案に似ている」と喝破した。つまり、東ロボくんのような答案を書いて入学している受験生が相当数存在するのである。東大を始めとする難関大学にとって不幸なのは、どれほど丁寧な入試をしても、それに応えることができる受験生が減り続けているということだろう。

 

AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?』では、以下のように書かれています。

現段階のAIにとって、文章の意味を理解することは、不可能に近い。

しかし同時に、疑問に思ったことがある。

「文章の意味を理解できない東ロボよりも、得点の低い高校生がいるのは、どういうことだ?」
「この高校生たちは、文章の意味を理解できているのだろうか?」
「義務教育で、教科書の文章を読める力は本当についているのだろうか?」
私たちは、子どもたちが「読める」ことを大前提に話してしまう。
だから「わからない」と言う子に対して、大人たちは「ちゃんと読め」と言う。
「ちゃんと読めばわかるはず」という前提、それだけの読解力は備わっているという前提がある。
しかし、そもそも「読めて」いないのだとしたら?
どれだけ「ちゃんと」読んでもわからない。
社会が得意、算数が苦手という以前に、読めているかどうかを見る必要があるのではないか、と思うに至った。

 

そういった中で、以下のような流れになります。

「問題の意味が分からないAIがこれほどの成績を取れるなら、実は人間ほうも意味を分からずに試験を受けているのではないかと考えました」

この考えを検証するため、2015年に新井教授は「リーディングスキルテスト」を開発。主に中学生を対象に、教科書から抜粋した一般的な文章を正確に読めているかどうかという調査を開始した。
「当初は多くの人から反対されました。というのは、PISA(国際学習到達度調査)による日本の読解力はトップクラスであり、一般的な文章を読むという調査をしても正答率は90%台になるだろうと言われたのです」
しかし実際にテストをやってみると、「非常に憂慮すべき事態」であることが分かったという。

「やはり読めていなかった。正しく読めば間違いようのない文章なのに、かなりの中高生が読めていない。文章の意味が分かっていないのに知識だけで答えるというのは東ロボくんと同じです。(以下略)

国立大学広報誌vol.46 より

 

日経新聞2016/03/30ではこのようなインタビュー内容が掲載されています。

――上位層の読解力は落ちていないのでは。

  「東ロボくんは昨年、東大実践模試も受けた。世界史の配点26点の論述問題では9点を獲得し、平均の4.3点を上回った。答案に意味不明なところも多かっ たのに人より良かったのは、人も相当おかしなことを書いていたためと想像される。トップクラスの生徒の言語運用能力は落ちていないという想定は間違ってい ると思う

また、『東ロボくんの"苦手分野"を克服する|教育マルチメディア|教育家庭新聞』では、以下のような やり取りが掲載されています。

「言葉の重なりや文の長さが似ている『正誤判定問題』は、AIにとって難しい。『一単語』だけ異なる文章は、オーバーラップで判断すると、同じ意味であると判断してしまう。同義文判定や小論文も、絶望的に難しい」

その理由は「一切意味を理解していない」から。

ではなぜ、意味を理解できない「人工『無能』」が人間を凌駕したのか‐‐なぜ、意味を理解していなくても、受験生の上位2割の偏差値を獲得できるのか。

そこで新井氏は「中高校生は、入試問題や教科書の意味を正しく読めているのだろうか。読み取れていないのではないか」と考え、ある進学校(中学生計580 名、高校生計640名)を対象に、紙面あるいはタブレットで調査を実施。教科書に掲載されている、読み取りにくい長文を提示して、それについて正しく読み 取れているか否かを検証した。

すると、約2割が誤答であった。誤答の理由も分析したところ「東ロボと同じ仕組みでの誤答」が目立ったという。

これにより、優秀といわれている生徒であっても、「キーワード検索のように迅速に処理して文章あるいは相手の意図を誤解する場合がある」という傾向が明らかになった。

 この記事は2016年4月11日のものです。どうやら、こういった調査の中から、より基本的な読解能力をテストする必要が出てきて、RSTができてきたものと推測されます。

   

2017年9月、新井紀子教授はツイッターの中でこうも言っています。

「これほど多忙で疲弊している中学や高校が、なぜ2万人以上の規模で協力したのだろう」とは思いませんか?私に権力などないし、教育委員会は強制していない。これは現場の声です。こんなに教科書が読めてないのに、アクティブラーニングとかプログラミングとか英語とか無理ですとう声なき声。

 

RSTの結果(2017年9月 段階)

中学三年生の

15%が、主語が分からないなど、文章理解の第一段階もできておらず、

半数が、推論や二つの文章の異同などを十分に理解していない

ことが明らかになってしまったからです。

また、
基礎的読解力は中学では学年が上がるにつれて緩やかに上昇するが、高校では上昇していないこと、
高校の教科書が理解できず、力が伸びていない可能性があるということ、
基礎的読解力と進学できる高校の偏差値との間には、強い相関があるということ、
が分かりました。

(2017年9月時点、約二万四千人の調査において)

※『中3の15%、短文も理解困難 教科書や新聞で読解力調査(2017/09/23 東京新聞)』より

 ちなみに一般人を対象にしたものは、
「読売グローバル教育フォーラム」において6問のRSTを約650名の来場者に実施したものがあります。このとき、ほとんどの問題が6割以上(最高は85.1%)の正答率だったそうです。ただし、「~ように」「~ような」などのことばを使ってたとえる“直喩”が用いられている文章を選ぶ問題の正答率は、14.7%しかなかったそうです。これは、テストの時間が三分間で、一問三十秒で解かなければならない制約があったためかも知れません。

(※7)

 

 RSTの結果・詳細 

  (1)係り受け (2)照応認識 (3)同義文判定
中1 56.4 55.4 67.3
中2 58.4 55.9 71.8
中3 64.5 66.8 74.7
高1 82.0 82.1 87.5
高2 86.4 81.3 88.7
高3 87.5 86.9 90.5
       
  (4)推論 (5)イメージ (6)具体例
中1 50.6 26.4 23.6
中2 54.0 28.6 25.4
中3 57.9 36.3 33.7
高1 67.9 51.1 49.1
高2 69.7 57.7 50.0
高3 74.9 53.2 51.3

公立中学1年生から3年生および、進学率がほぼ100% の高校1年生から高校3年生までの正答率

 『デジタライゼーション時代に求められる人材育成』より

現在、およそ、
小学生 千三百人、中学生 七千人、高校生 一万四千人、高専生 二百人、大学生 千三百人、社会人 六百人
のデータが集まっているようです。

 

読解力に関わるもの

強い正の関わりとして、進学できる高校の偏差値。この相関は0.8だそうです。
また、強い負の関わりとして、就学補助率。(※ 就学補助とは、経済状況が厳しい家庭に給食費や学用品代などを補助すること)
弱い正の関わりとしては、中学校の学年。
 

あなたの読解力は、どれくらいか?

高校の偏差値との相関は0.8だそうなので、あなたの高校の偏差値で、あなたの読解力が予想できそうです。

 

リーディングスキルテスト と 進学できる高校 について

リーディングスキルテストを受ける中学生の子どもたちは、30分のテスト時間の中で、6問を解く子どもから、同じ30分で30問くらいを解いていって、しかも正答率も100パーセント近い子どもまで幅があるそうです。

そして、このテストの成績の良い子どもから良い学校に入っていく、という感じだそうです。

また、中学受験をして有名進学校に行くような子どもは、小学校5年の段階で、すでに高い正答率を出している可能性があるそうです。

 

読解力が低い理由

読解力が低い理由は、現在のところ分かっていません。

 

新井紀子教授のツイートから

今回の調査は、科目としての国語力を測ったものではありません。教科書も国語と英語は用いていません。「事実について書かれた短文を正確に理解する力」を測っています。国語が得意かどうかと本調査の能力値との間に相関は特にはない、という結果です。また、読書が好きかどうかとも相関はなかった。

相関がなかったのは、性別・得意な科目不得意な科目・一日の学習時間・スマートフォンの利用時間・読書の好き嫌い(5段階)・好きな本のジャンル・今月読んだ本の冊数・新聞購読の有無・通塾・習い事など多岐にわたります。能力値と意味のある相関があった項目は特に見当たりません。

にもかかわらず、進学できる高校の偏差値との相関は0.8です。つまり、生活・読書・学習習慣とは関係ないのに、進学できる高校を決定するような能力値だということです。一方、中学で能力値が上がるという点で知能テストとは違います。


問題サンプル

その1
アミラーゼという酵素グルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
セルロースは(  )と形が違う。

 その2
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
Alexandraの愛称は(  )である。

その3
以下の文を読みなさい
 輸出が伸び悩む中でも、和牛が人気の牛肉や、和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。
上記の文が表す内容と以下の文が表す内容は同じか。「同じである」「異なる」のうちから選びなさい。
 輸出が伸び悩む中でも、和食ブームを反映した日本酒や緑茶、和牛が人気の牛肉などは好調だ。
   「同じである」  「異なる」

6分野の問題サンプルはこちら ↓

 

問題内容
リーディングスキルテストの実例と結果
に具体例が出ています。
また、
AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース

AIが大学入試を突破する時代に求められる人材育成
にも具体例が出ています。

 

問題が良くないという意見に対して

新井紀子教授のツイートから

リーディングスキルテストの題材は、「良い文か悪文か」ということで選んでいません。その文が読めないと、生きていく上で不利益を被る可能性が極めて高い、というところから選んでいます。(文学鑑賞を否定しているわけではなく、ただリーディングスキルテストのスコープ外ということ)

法律って「知らなかった」「読めなかった」では免責にならない。どんな悪文でも読めないといけない(ことになっている)。アパートの賃借契約書もそうですね。「この文、あいまい性があるだろう!こんな頭の悪い文章で契約できない!」って破り捨てられない。

 

RSTの、これからの作問について

新井紀子教授のツイートから

裁判の判決は、一文が千字以上ということがざらなのですが。刑事事件の被告がちゃんと判決を自力で理解できるのか?、というのは民主主義の在り方として考えるべきなんじゃないかと思う。教科書と新聞の次は、判決文から作問しようかな。

他にも、「法律の条文」「お役所の通達文」「地域ごとのゴミの分別の指示書」などの候補が出ているようです。


RST活動を通して目指すもの

中学を卒業するまでには、全員が教科書レベルの文章を「読める」ようにしたい。

AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース』より

 個人的には、全国の中学1年生にリーディングスキルテストを無償提供したい。生徒の読みの状態を正確に把握できれば、「ここに書いてあるでしょ、ちゃんと読んで!」みたいな指導が適切か否か正しく判断できる。(でも、学テに何億もかかってるから・・・科研費じゃ無理)

私の夢は、中学1年生希望者全員に無償でリーディングスキルテストを提供することで、その後生きていく上で困らない基礎的読解力を身に着けて中学校を卒業してくれることです。加えて、障碍が理由で読むことが難しい人を早期発見して、支援を行えるようになることです。

※ 新井紀子教授のツイートより


地方自治体の取り組みは?
参考までに・・・埼玉県戸田市でのリーディングスキルテストに関する活動

戸田市教育委員会会議録(平成28年6月23日)で語られているリーディングスキルテスト

  今のAIには文章の意味を理解することが出来ない、つまり、リーディング・スキルがないということです。一方で、中学校や高等学校でリーディング・スキルに関する調査をしたところ、実は多くの生徒が教科書の文章をしっかり読めていないという結果が出ています。このままでは、人間よりもAIの方が、コストがかからない上に正確であることから、新井先生は、人間らしい力をもってAIと共存して働き、生きるためには、まずは教科書をきちんと読める子を育てることが必要だと提唱されています。
 本市としては、昨年に引き続き国立情報学研究所特任助教の藤田彬先生らの指導のもと、戸田市立教育センター研究員が調査問題の作成に協力してまいります。昨年度に作問に参加したセンター研究員からは、教科書の問題を改めて見直すことになり、日頃行いたくても行えない有意義な研修だったという感想が多くありました。作問の取組そのものが、リーディング・スキルについて理解する機会となり、教科書分析を行う教員研修の一貫となっております。
 また、昨年度は一部抽出して調査を実施しておりましたが、本市の生徒の特徴として、県立中学校などの生徒に比べると正答率は低かったわけでございますが、問題を考えている時間は長いということがわかりました。このことから、国立情報学研究所の先生からは、粘り強さ、やり抜く力といった非認知能力が育っていることが読み取れることから、今後に可能性を感じる結果であるという評価もいただいております。
 今後についてでございますが、今年度は、市内の児童生徒の状況を把握するため、テストの実施範囲を拡大し、市内中学校全学年全学級(91学級、約3,300名)と小学校6学年の全学級(37 学級、約1,200名)の児童生徒を対象に調査を行うことを検討しております。調査自体が教員研修の一貫となることもねらいとしておりますし、また、小6と中1の結果を比較し考察することで、中1ギャップ解消のヒントを得られる可能性もあると考えております。テスト結果については、研究所と協力しつつ分析を進め、追って報告いたします。 

読めば分かる通り、 戸田市は、リーディングスキルテストの初期より、テストの作問などに深く関わっているようです。

 

北海道教育庁総務政策局教育政策課情報化推進グループ
においてのリーディングスキル向上の取り組み

係り受け問題 について

授業中に教科書を読む際などに、注意深く文章を読むことを指導する。
主語・述語などの文章構成を理解させるような指導を増やす。
読書量を増やさせる。
語彙力の向上や読む力を身に付けさせるため、教科書の読み書き、音読などの習慣を身に付けさせる。
わからない言葉をイメージさせるために具体例や比喩を取り入れた指導を図る。
文章や問いについて理解力を高め、答えを出せるように授業等で指導する。
教科指導はもとより、総合的な学習の時間等を有効に活用し、自分の考えを表現させる機会を多く持ち、その指導の中で文章の構成について考えさせる。
主語と述語、修飾語と被修飾語等の係り受けを正しくとらえさせる。
短い文章から順序立てて一定のスピードを持って読み、内容を理解する訓練を行う。
漢字を読めるようにする。辞書を利用する習慣をつけ、語彙力を伸ばす。分からない部分と分かる部分を区別し、分かる部分から物事を考える思考訓練を積む。

照応問題 について

義務教育段階の国語の基礎基本(漢字読み書き・語彙の意味・文法の理解等)を徹底させる。
討論会などを通して一つの事象を多面的に捉える練習を行う。
普段の会話や生徒に書かせた文章に対し、細かく文章構成を直す指導を行う。
語彙力の向上や読む力を身に付けさせるため、教科書の読み書き、音読などの習慣を身に付けさせる。
わからない言葉をイメージさせるため、具体例や比喩を取り入れた指導を行う。
自己にあるイメージだけにとらわれず、条件等を考慮しながら、様々な見方や考え方から、イメージが湧くよう指導する。
問い(問いかけ)に対しての理解力を高めるよう指導する。
教科指導や特別活動を通して、自らの考えを説明する機会を設け、文脈の全体像をつかめるように指導する。
段落ごとに小タイトルを付けさせるなどして、文章の話題を意識させる。
文章内容を図表に変換するなどして、文章を構造的にとらえる訓練をする。
問題文に即した解答を組み立てる訓練をする。
何を聞かれているのか明確にし、それに沿った内容を自分の中ではなく、文中から探す習慣を身に付けさせる。

同義文判定問題 について

文章を最後まで読み取ることの重要さを理解させるとともに、授業などで根拠を問う場面を増やす。
同じ内容の新聞記事を2社(以上)比べさせ、同じことを言っているかどうかを判定させる。
語彙力の向上や読む力を身に付けさせるため、教科書の読み書き、音読などの習慣を身に付けさせる。
文章や問いについて理解力を高め、答えを出せるように授業等で指導する。
教育活動全般において、「誰が」「何に対して」「どうしたのか」ということを大切にして指導する。
教科指導において、教科書にあるとおりではなく、違った角度からアプローチしていく指導をすることにより、同じ現象でも異なる伝え方があることを学ばせる。
主語と述語、修飾語と被修飾語等の係り受けを正しくとらえさせる。
短文の要約、見出しを付けるなど、短時間で正確に要旨をつかむ訓練をする。
短い文章から順序立てて一定のスピードを持って読み、内容を理解する訓練を行う。
問題文の意味が理解できなくても、すぐに人に質問するのではなく、「〜という意味だと思うがあってるか?」という質問をするよう指導する。
文章を書く際、主述の関係を意識し、分かりやすい文章を書くよう指導し、必ず見直しをさせる。

推論問題 について

ある文章、情報などについて、正確性を疑う場面を授業中に設ける。
RSTの推論問題の類題をたくさん解かせる。
わからない言葉をイメージさせるために具体例や比喩を取り入れた指導を図る。
日常から意識して推論を行い、判断する能力を生活の中で身に付けさせる。
教科指導や生徒会活動などにおける生徒との対話において、その内容の理由等を聞き返すなどの方策を実施し、論理性を高める。
生徒の「なぜ」という疑問を大切にできる教育活動を行う。
教科の枠を超えて既習事項を定着させるため、様々な知識を結びつけることを意識した指導を行う。
生徒自身の中にある知識と、今までに培ってきた知識を利用しながら、様々な場面で簡単な論理推論を行い、推論する力や習慣を身に付けさせる。
すぐに諦めないよう「できる」という感覚を身に付けさせる。実際に「できた」という成功体験を積み、自信を持たせる。
問題文からではなく、選択肢から答えを検討する方法を繰り返し教え、演習させる。

イメージ同定問題 について

義務教育段階の算数・数学の基礎基本を徹底させる。
語彙力の向上や読む力を身に付けさせるため、教科書の読み書き、音読などの習慣を身に付けさせる。
全教科の授業において、図を言葉で表現したり、言葉を図で表現する内容を取り入れる。
生徒に目を閉じさせ、教員が口頭で述べた情景などを頭にイメージさせた内容を目を開けさせてから紙に書かせる。
わからない言葉をイメージさせるために具体例や比喩を取り入れた指導を図る。
教科指導等により、文脈や会話からイメージ図を作ったり、図を選択したりという活動を通して高める。
絵や写真、図などを言葉で説明するなどして、イメージの言語化や言語のイメージ化を図る。その際、ペア・グループ活動にしてお互いに理解し合えたかチェックできる形にすることが望ましい。
短い文章から順序立てて一定のスピードを持って読み、理解する訓練を行う。
各教科の取組の中で、生徒に指示語を問い直すなど細かく指導する。

具体例問題 について

義務教育段階の国語や算数・数学の基礎基本を徹底させる。
新聞やニュースなどに触れる機会を増やす。
分からない言葉をすぐに調べる癖を付けさせる。
語彙力の向上や読む力を身に付けさせるため、教科書の読み書き、音読などの習慣を身に付けさせる。
わからない言葉をイメージさせるために具体例や比喩を取り入れた指導を図る。
日常接する言葉の意味を理解させ、使用できるように授業等で指導する。
普段の会話から正しい言葉を使うように指導する。
作文等の指導の機会を持ち、添削指導等で高める。
生徒の語彙力を増加させ、言葉に対する理解力を向上させるため、語句を学ぶ際は、正しく語句を運用できるか練習を行う。
語句を使用した短文作成など、分からない単語を自分で調べ理解するという経験を積ませ、自ら調べて学習する習慣を身に付けさせる。
教員も普段から言葉を正しく使う(読む、理解する、考える)必要がある。
日頃から文章を読む機会を増やし、読んだ内容を口頭で確認する。
読んだ内容を要約したり、要約文の空欄補充をしたりする問題に取り組ませ、情報を整理できるようにする。

 平成29年度北海道高等学校遠隔授業実践研究協議会報告
リーディングスキルテストの分析と自己調整学習」より

 

RST実施組織と活動内容
中学卒業時点において、すべての生徒が教科書 を正確に読める力をつけていることを目指し、教育に関わる企業・団体などと共同 で産学連携の「教育のための科学研究所」準備協議会を2016年7月に設置し、以下の活動をすることになっています。

  1. 生徒が教科書の内容を正確に読み取れる力を測る「RST」を企画・実施し、テスト結果のデータに基づいて「なぜ読めないのか」という理由を分析
  2. 読解力の高低に関する要因の特定、診断方法の開発等を通じて欠けた部分を補う教育方法を考案し、読解力向上に向けて活動
  3. 「RST」の実施結果に関するデータベース等の作成 および 開発支援

参加企業・法人は以下の通り

上記の企業・団体に加えて、株式会社野村総合研究所 未来創発センターが協賛

今後の予定

リーディングスキルテストの集計は半年ごとに行なっているようです。
今回が9月末のニュースであることを考えると、次回のニュースは(あるとしたら)3月末ごろになるのではないでしょうか?
次回は、倍以上のデータが集まっていますし、継続してデータを取っているところもあるようなので、何か新しいニュース(何がリーディングスキルを決めているのか、とか)があることを期待していますが、まだ早いのかも知れません。

 

50万人の試験データ収集を目標にしており、「タブレットを使った計測に参加できる中学・高校はぜひ連絡を」(2016年4月11日)
東ロボくんの"苦手分野"を克服する|教育マルチメディア|教育家庭新聞』より

 

2018年度から本調査に入ります。
東ロボくんの挫折に学べ  | 朝日学生新聞社 ジュニア朝日』より

 

 


企業の採用でもRSTが使われる可能性

一般企業の中にも、就活における適性検査に、このテストを採用しようとする動きが表れ始めている。

急速に普及する可能性がある。

 『AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース』より

 

RST以外の試み

RST以前にも複数の進学校に協力を得て高校生の能力を測る試みはしていたようです。

 ところで、私たちは人工知能を開発することと並行して、どれくらい人間は人工知能をうまく使いこなすことができるかに関する調査も実施している。

そのひとつが、日本史教科書を自由に検索できる状況の中で、高校生は論述式の問題にどれくらい正しく答えられるか、という調査である。
複数の進学校に協力を得て実施した結果、小論述でも正答率は半分以下、大論述になると歯が立たないという結果が出た。

悲しいことに、日本史を高校で選択したか否かは、正答率に何ら影響を与えなかった。スマートフォンやSNSを日常的に使いこなしているようにみえる高校生だが、該当箇所をうまく検索できず、仮に該当ページが表示されても、どこが答えとして適切な箇所か判断ができなかったのである。

『「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」』より、

高校生に与えられた問題とは、『東大の地理歴史の問題』のようなものだったのかも知れません。


また、「大学生数学基本調査」も2011年に行っています。

2011年の4-5月に2つのプロジェクト、「ロボットは東大に入れるか」と「大学生数学基本調査」を行いました。全国の約50の大学にご協力をいただき、6千人の大学1年生に数学の問題を5問出し、解答を調査しました。人工知能には難しいと言われる「意味がわかって考える」ことや「問題解決」などがどの程度できるか調べた結果、調査対象の大学生の三分の一が「平均」の意味を理解していないことなどがわかったのです。「困ったな」と思いました。

『Educo(エデュコ)2016年初夏号(No.40)』巻頭インタビューより

 

今現在、リーディングスキルテストとは別の調査をしようとしているという話もあります。
リーディングスキルフォーラムにおいて発言

 

読解力の問題を放っておくとどうなるか?

中高校生が説明文を読めないまま、AIと似た問題解決をし続けた場合、人工知能導入により、全世界の雇用の半分、約20億人の雇用が消えると予測されている2030年には、労働力不足と失業の問題が同時に起こる

だから2020年までに教科書を読める子供を育てたい。
(※2、4,5)
 

 

RSTの他の意味
・リセット
・Representative Selection Tournament
・三相電源の各相(RST)
・reStructuredText
・Respiratory Support Team(呼吸サポートチーム)
・Roudosyo Safety and health education Trainer(労働省方式現場監督者安全衛生教育トレーナー)
リーディングスパンテスト(Reading Span Test)

 個人的な感想など 

感想1.
通塾・習い事と、読解力の相関が無いということ、および、偏差値と読解力の相関があるということは、つまり「学習塾において、偏差値が上がることは無い」ということなのでは?
より、飾った感じに言えば、「学習塾とは、生徒本来の潜在能力(=伸びしろ、この場合は読解力)を顕在化させる場(であって、潜在能力の無い生徒は残念ながら・・・)」ということになるのかも知れません。
でも、調査結果を見ると、通塾と読解力が関係無く、高校偏差値と読解力の相関が0.8ならば、学習塾の果たす役割も、あまり無いということになってしまします。にわかには信じがたい話ではありますが・・・。
学習塾に関して言えば、以前、ネットで、「合格実績の多い学習塾は、単に、生徒数が多いだけだ」というのがあって、つまり、「頭の良い子が100人に3人の割合でいるとすれば、百人の塾だと、3人しか合格者を出せないけども、規模を大きくして千人の塾にすれば30人、一万人の塾にすれば300人の合格者が出せる。生徒の数を増やすことにより、実績を作り出せる」という話があったのを思い出させます。塾にとっては、頭の悪い子を苦労して教えて伸ばすよりも、単に生徒数を増やせば、合格実績も良くなるという話で、RSTの結果も含めて考えると、今の塾は勉強の向上とは、ほぼ無関係だということになりそうです。
「子どもをやる気にさせる!」「苦手科目を克服!」なんて、学習塾のチラシを見ることがありますが、たぶん、成果など出ないのでしょう。罪悪感はないのかと、思ってしまいます。つまり、11種類の読解力を乗り越えた先に、本当の理解があるのだとしたら、その1~2種類のハードルを乗り越えさせるのがやっとなのではないのでしょうか?でも、それも、本当に乗り越えられたかは、今後は、RSTで計れることになるのでしょう。
この話は結果が出るまでは、与太話とさせてください。

感想2.
読解力と高校偏差値のみに相関があり、
通塾・習い事などの学習習慣や、教科の得意不得意には相関が無いのであれば、
読解力さえ鍛えることが可能であれば、偏差値は上がるし、勉学ははかどる。また、国民全体の学力の底上げも行える。ということになりますよね? 成績向上においての避けては通れない絶対的な最初の関門?! 全てはここから始まる?!
・・・とは言っても、その内訳は、11種類に分けられるそうなので、細分化は起こりそうです。新井教授も、「全員に向く読解力向上策はない」と言っていますし。

感想3.
読解力の無さは、何かの手順を読むときに影響を与えているかも知れません。
これは、
ツイッターで語られていた
技術オンチな人「手順書通りにやったのに上手くいかない」「この手順はよくわからなかったので飛ばした」…なぜ飛ばしたりアレンジしたりするのか?
という話とつながります。 

・技術オンチな人にありがちなこと

Aさん「え?手順書通りにやったのに上手くいかない?」

Bさん「はい…最後までやったんですが…」

Aさん「途中のこの手順⑤は?」

Bさん「よくわかんなかったので飛ばしました」

Aさん「」

・技術オンチな人にありがちなこと
Aさん「仕様は理解できそうですか」
Bさん「はい」
Aさん「順調ですか?」
Bさん「はい」
Aさん「詰まったら聞いて下さいね」
Bさん「はい」
Aさん「今日1日でどこまで進みましたか?」
Bさん「1行目です」
Aさん「!?」

料理が苦手な人にも共通しますね

料理「レシピ通りに作っても上手く行かない」という人。大概コレ

料理のレシピとかでもありますが勝手にアレンジしたりしておいて「書いてある通りにやったのに?」と素で言ってくる人は怖いですねヽ('A`)

感想4.
RSTによって、「分かり易い文章表現」というのが明確になりそうです。
原子核の発見者、ラザフォードは、「専門的なことをウェイトレスにもわかるように説明できない時は原理の方に問題があるのだ」と言いましたが、
より、分かり易い表現で教科書や説明書を作るのに役にたつと思われます。
ただ、これが実現した後には「昔の教科書は難解すぎてサッパリ分からない」ということになりそうです。

感想5.
「マンガを読むのは面倒だからアニメを見る」という話もネットで出ていました。
でも、そもそも読解力が無いのであったら、話を見ているときに、受け取る情報量が違う可能性が出てきます。
これ、動画のテストがあってもいいかも知れません。話やニュースや解説を見せて、筋が理解できているか? 語られていたことをどれだけくみ取っているか? 調べるのです。

現実の話として、某国のテレビでは「くる」という意味の言葉を使うことが無いそうです。なぜそうかと言えば、性的な意味と間違う人がいるからだそうです。日本だと「いく」になるのかな?
こういった話も、読解力の話として見ることができるかも知れません。

リーディングスキルテストで調査して分かったこと、その収穫の一つに、
「得意科目、読書量、どれも読解力と関係が無かった」というのがあります。
これを極端に解釈すれば、「当人は理解できているつもりができていなかった」となって、
これが、テレビや映画やアニメでも、同様に起きていることが考えられます。

橋本治が、そのエッセイの中で、「僕は、日頃読む新聞や、テレビで見ているニュースを、本当のところ、皆、全然理解していないんじゃないかということに気が付いた」という意味のことを書いていましたが、これ、本当かも知れません。

リーディングスキルテストに関わっている新井紀子教授は、その著書の中で、中学生に数学を教えて、「皆さん、理解しましたか?」と聞くと、生徒たちは、「はーい」と答えるのだけども、「では、理解したことをノートにまとめてください」と言うと、それができる生徒は、2~3人しかいない。と書いています。

これと同じようなことが、教科書を読んだり、授業を受けたり、本を読んだり、自学自習したり、新聞を読んだり、ニュースを見たり、そんないろいろな場面で起こっている可能性があるということです。

感想6.
私たちは、「理解したつもりになっている」ということが、白日のもとにさらされたということが、このテストでの大きな収穫のひとつなのかも知れません。
そして、これは同時に出発点であるのかも知れません。

 

 分からないこと
・中学時代に読解力が伸びた理由
 ・たぶん何らかの学習や授業の成果だと思われるので、その特定が必要。
知能指数との相関
 ・知能指数との相関が語られていません。
 ・例えば、ある種の知能指数が高ければ、中学時代に読解力が上がる可能性がある。とか。 それとも、まるっきり関係ない。とか。 これは、毎年追跡調査する必要がある話です。それとも学年と読解力と知能指数の相関を調べれば分かる?
 ・「 入力(読解力)→内部処理(思考力・創造力など)→出力 (文書作成能力)」と考えると、知能指数は内部処理で、読解力は入力なので、相関は無いということでしょうか?
 ・「 入力(読解力)→内部処理(思考力・創造力など)→出力 (文書作成能力)」と考えると、高校入学における偏差値とは、内部処理能力とは無関係に、入力能力のみで決まるということでしょうか?  ※「推論」は内部処理と関わると思うので、この項目は削除しました。
・「読解力と高校偏差値のみに相関があり、教科の得意不得意には相関が無い」
この「教科の得意不得意」とは教科の点数では無く、本人の実感としての、つまり、アンケートの回答としての「得意不得意(好き嫌い)」なのですよね?
・「読解力と高校偏差値のみに相関があり」の別の見方をすると、「アンケート調査の調査結果とは、いかなる相関も無い」ということになりますね。
・「教科の得意不得意」を、本人の実感としての「得意不得意(好き嫌い)」と仮定して、読解力には、高校の偏差値との相関があるとのことですが、これはつまり、教科の好き嫌いには相関は無くとも、教科の成績とは相関があるということですよね。だって、成績の積み重ねが偏差値なんだから。そこの情報はあえて、今は、触れていないのでしょうか?
・各教科(5教科以外も含めて)の成績や、テストの点数との相関
 ・読解力の種類と科目別の偏差値との関係
 ・例えば、英語(別の教科でも可)の偏差値と読解力に相関が認められれば、学習の前に、読解力を上げる必要があり、RSTの必要性が、さらに認められると思います。ただ、もしかすると、これは逆で、英語の学習過程により、読解力が上がった可能性も考えられます。
 ・中学時代に読解力が上がるとのことですが、上がった生徒は(あがる生徒、あがらない生徒がいると思うので)、同時に、成績も変化するのか(タイムラグがある可能性もある)? これも、毎年追跡調査する必要があります。
・負の相関とかは無いのか?
 ・例えば、英語の成績が良い生徒の場合、英語の文法感覚が日本語に波及して、ある種の読解に影響を与えて、成績が悪く出るとか。
 ・知能なり教科なりの、ある能力が低ければ、スルーして、早く問題を解いてしまうのに、高ければ熟読して時間がかかってしまうとか。
・私にとって、読解力といえば、その本を読んでいないくせに、出口 汪さんなのですが、あのかたの勉強法は効果があるのかが気になっています。
・言語的な壁があるか否か?つまり、言語によって読解力に差がつくか?
例えば、RSTを英訳すると、結果に差が出るか?
大げさに言えば、日本語を母語として話す日本人でも、ラテン語を学んだほうが知識の習得および伝達に間違いが無くなる。とか。
例えば、プログラミング言語には、得手不得手があります。読みやすい言語、読みにくい言語、銀行はコボル、など。同じようなことが、話し言葉や書き言葉でも、ないか?が気になります。
水村 美苗の言うところの「知(叡智)にアクセスする言語」として日本語はどれだけ優秀であるのかが気になるのです。
日本語は母語で数学や科学が勉強できるように、つまり叡智にアクセスできるように先人が頑張ってくれているので、優秀であって欲しいとの個人的願いはあります。
また、「知にアクセスする言語」としてラテン語・英語・フランス語・韓国語・中国語そして日本語とある内、どれが最適かが気になります。
武術家 甲野善紀は、その著書の中で、日本語での指導では、弟子にまでしか技術が継承されないが、中国語であれば孫弟子にまで技術が継承されると、たしか、書いていました。同じ「打つ」でも中国語は表現が沢山あるので、より正確に伝えれるという話だったと記憶しています。
場合によっては、日本語の表現方法を変える必要も出てくると想像しています。
・この問題は、読み言葉に限定された問題か?話し言葉におよぶ問題か?も気になります。つまり、教科書で勉強するときに限定された問題か?授業および講義においても、読解力の影響はあるのか?また、読む場合と聞く場合では、同じような能力を使っているのか?聞く場合は、また別な能力が関わるのか? これは、学習法に影響を与える問題だと思われます。


今後の課題?
・読解力の種類によって、読解力向上の方法も異なるので、やはり追跡調査をしながら調べる必要が出てくるのでは?
・これを踏まえると、新井教授の言うように、学校では、習熟度別クラスにしないと、教える方は大変ですね。

2万4千人で調査した実感としては「全員に向く読解力向上策はない」係り受けができない生徒、推論の正答率がランダム並みのクラスでアクティブラーニングしても読解力は上がらないだろう。まずリーディングスキルテストを受けて、自分のクラス・学校の状態を把握してください。

一方、係り受けの個人平均正答率が95%超えている学校で、天声人語の書き写しを毎日やらせても、あまり意味がないでしょうし。分散が大きすぎたら、読解力でクラス分けする必要があるかもしれないし。状態把握が第一ステップです。

 ・学習塾でこのRSTを取り入れたら、同じように、ある科目の成績が悪い生徒が2人いても、RSTの成績で教え方を変えて、よりきめの細かい指導ができるようになる。ということですよね。
・学習塾によっては、できない子を食い物にするところもあるようなので、RSTとそのアンケートによって、本当に子どもを伸ばす学習塾が浮き彫りになれば、良いことだ。と思ったり願ったりします。
・小中学生用の、読解力のドリルだとか、論理力のドリルだとかありますけど、どれが、より効果的なドリルなのか、RSTを使って調べることができそうに思います。
・テスト内容が漏れてくると、塾などが、対策を教えるコースを作らないだろうか?気になります。作問するのは、非常に時間とお金がかかると思われるので、このような抜け道を作られると、形骸化してしまいます。入社試験に取り入れたり、選別に取り入れたりすると、やはり抜け道を教える者が出てくるように思います。塾自身も、自分の塾に通うことでRSTの成績があたかも上がったように見せるために、対策を講じそうです。なので、このテストは、あえて、軽い感じであって欲しいと思います。もしくは、あえて、一定期間、相関などの情報を出さない選択をしても良いかと思います。

 

文章は、以上です。

文章に誤認箇所がある場合、正しい情報とそのリンク先を教えてください。文章を随時直していきます(たぶん)。

 

資料

1.『リーディングスキルテストで測る読解力とは

2.『東ロボくんの"苦手分野"を克服する|教育マルチメディア|教育家庭新聞

3.『東ロボくんの挫折に学べ  | 朝日学生新聞社 ジュニア朝日

4.『Educo(エデュコ)2016年初夏号(No.40)』

5.『AIが大学入試を突破する時代に求められる人材育成

6.『人工知能に勝つには「読解力テスト」から!?

7.『パネルディスカッション : 読売グローバル教育フォーラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

8.『リーディングスキルテストの実例と結果

9.『AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース

10.新井紀子教授のツイート

 

 その他 関連資料