東京百舌

二枚舌ならぬ百枚舌です。適当なこと言います。人が言わないことを言うのが努力目標です。言いっ放しです。あしからず。

リーディングスキルが無いとは、こういうこと・・・たぶん

リーディングスキルテストで文章が読み取れない子供の話が出ているが、
いまひとつ、リーディングスキルが無い状態というものの実感がわかない人もいるのではないだろうか?


これがドイツ語ならば、多少習ってはいても、リーディングスキルが無い人も多いと思う。

そういった体験を通して見れば、「リーディングスキルが無いとはこういうことなのだろう」と想像できるのではないか?


新井素子「ドイツ語の授業をさぼると机がおしよせてくるっていう怖い話|基礎ドイツ語 85.5」より

 昔、四年間程、ドイツ文学科という処におりました。つっても、まあ、おそろしい程怠惰で何もしない学生だったんで、まったくドイツ語、書けも読めも、ましてや話せもしませんが。

 でも、一応学生だったので(略)当時のノートが残っているんです。

 これがね、当時もそうだったんだけど、今読み返しても、おかしい。笑える。

 たとえば。
 『彼らが彼を開けた時、くさったレモンの匂いが彼らの中へおしよせてきた。向きあった大きな木の上方の葉は動かず、にわとり達は眠っていた。向きあった壁の間の、木の枝の上方が輝いている平原では、小さな貨物列車がオランダの方へ走っていった。』

「あの、新井さん、常識的に考えて、人間というのは開くものですか?」
「……常識的に考えて、開くものではないと思います」
「じゃ何だってあなた、開けちゃったんですか?」
「開けるつもりはなかったんですが……そう書いてあったので……」
「それから、木の枝が輝く平原っていうのは、何ですか?」
「私もそれが知りたいです」

 この先生の情業では、もっとひどいのやったこともあるんですよね。それも、テストで。
 『老人は、婦人とお茶を飲みたいと思っていた。すると、家の裏手の川から、書きもの机の大群がおしよせてきた。書きもの机に流されながら、老人は考えた。あの椅子は、妻には小さすぎるのではないかと』

 

文章が読み取れていないっていうのは、こういうとなんでしょうね・・・たぶん