東京百舌

二枚舌ならぬ百枚舌です。適当なこと言います。人が言わないことを言うのが努力目標です。言いっ放しです。あしからず。

「AIに負けない子どもを育てる」立ち読み読書感想

はじめに断っておく。これは書店においての数分の立ち読みだけによる感想である。
推論が得意な人には、言わずもがなだが、
これからの文章には、事実誤認が多く含まれていると予想される。通読していないことから起こる誤解もあると思う。浅い意見が散見されるとも思う。
書いてある文章に誤認がある場合は、該当ページを示し、文とともに指摘されたし。
後日、書店に行くことがあれば、再度確認するかも知れない。
それまでは、指摘に対し、返信しないので、先にお詫びしておく。

 

先に大まかな説明、この新井紀子「AIに負けない子どもを育てる」では、読解力と、それを計るRST(リーディングスキルテスト)の話、読解力向上へのヒント、などが書かれている。
あとRSTのサンプルが掲載されている。

 

ここから本題に入る。

著者は、RST(リーディングスキルテスト)のデータは10万件(件数は曖昧な記憶で書いている)あり、このような規模のデータがあることを根拠にその信憑性を主張している。
それに対して、読解力をつける教育法には、データが無く、RSTと比べた場合、信憑性が全くない。
全くと言ったら言い過ぎであろうけど、信憑性はどうしても劣る。
これは、大人の読解力向上の話においても、である。
たった一人の成功例らしきものでは信憑性などあったものでは無い。

「万が一」「万に一つ」「一万人に一人」といった言葉があるが、それに近いのではないか?
「可能性としてはゼロでは無い」
というのが分ったのは良いと言えるし、希望も持てるが・・・。

なぜか、これを書きながら、唐突ではあるが、久しぶりに宝くじを買おうと思った。可能性にかける勇気をもらえた。 

話を戻す。

まず、RSTの結果が上昇したのであれば、
6つ、より正確に言えば7つの読解力の内、何が、どこからどれだけ上昇したかを示す必要がある。
実データを示すべきである。

6つの読解力で言えば、各教育法により、各年齢で、どの読解力が、どの段階からどれくらい伸びるのか書いておく必要がある。

例えば、TOEICであれば、ネットで見かける対策を書いたページには、何点レベルでは、こういった本を読め。この分野を強化するにはこの本を読め。と書かれていたりする。
読解力向上にも、そういったものを求める。
いや頑張っていると思うし、その努力に頭が下がる思いではあるのだが。本当に頭が下がるのだが。

例えば、ある塾において、RSTの値が上がったとする。
それで、その教育法を「野菜・睡眠・瞑想」だとして、これで本を出したとする。どの値がどれだけ上昇したか詳細を明らかにせずにだ。
RSTの結果が上がったことが確かな事実であろうと、不誠実感はぬぐえない。

本書は、そういった不誠実感を感じる部分がある。信頼度の高い事実、低い事実が混在していて、読んでいて落ち着かない。

 

それと、そろそろ、RSTで計れる読解力と遺伝子の関係に、結論を出してもいいのではないだろうか?
新井教授が乗り気で無ければ、一卵性双生児で研究をしている安藤寿康教授のほうで勝手にRSTも研究対象に入れてもらいたいと思った。
RSTで計れる読解力が、どの程度遺伝子の影響を受けているのか知りたい。
読解力が親からどの程度遺伝していくものなのかも知りたい。
計測できる6つの読解力が全て相加的遺伝となるのかも知りたい。

www.newsweekjapan.jp

こういったことを一卵性双生児でいろいろと調べることにより読解力をつけるにあたっての難易度の予想もついてくるのではないだろうか。
例えば「“係り受け”は、両親からの遺伝の影響は低いものの、遺伝子の影響は強力で、これが苦手な場合、克服は比較的困難である。とは言っても、9割以上の人間は、問題を感じないレベルで生活ができる」とか(書いてある内容は適当なデタラメ。あくまでも想像でサンプルとして勝手なことを書いているので注意されたし。現実の話では無いので間違わないように)。
一卵性双生児の片方を訓練することにより、どれだけ差が出るのかを計って遺伝の影響を抜ける労力がどれくらいか知ることもできると思う。

ちなみに、RSTと関係の無い読解力と遺伝の話ならすでに出ているもよう。

www.afpbb.com


ここで本書の読書感想から少し離れたことを書くと、

読解力不足については、2つの対応が考えられる。

一つは、文書をより簡易にし、図解なども併設すること。
つまり、読解力向上をあきらめて、低いレベルに合わせた表現にすること。
これは、テレビや新聞、取り扱い説明書ではある程度は今だって行なわれていること。
最近も外国人にでもわかりやすい言葉と文章を!という話があった。
「やさしい日本語」。言葉と表現のバリアフリー
この場合、読解力の低い人物は、日常生活に限ればそれを意識せず人生を歩むことになる。

もう一つは、教育や勉強法の確立を行ない、読解力そのものの向上を目指すこと。
これが叶ったら、企業は、採用する人物の読解力を気にせず、その他の魅力で採用を決めることができる。
費用対効果の問題が出てくるが、そこを無視して論を進めると、ある意味、錬金術を手に入れたようなものである。人材の多くが金の卵となるし、すでに採用した人材の生産性向上が見込め、金の人材となる。
また、社会の構成員の読解力向上は、より豊かな社会へとつながる可能性を秘める。

著者が後者を目指すのであれば、本書の内容ではまだ足りない。
著者にはRSTを頑張ってもらい。
読解力向上には、専門家でも、市井の人でも、意欲のある大勢のさらなる参加が必要だと感じた。


今までの話とはまた別に気になった箇所もある。
RSTの結果解釈の話である。
著者がRSTの結果解釈をしたら、その人物を知らないのにもかかわらず、その人物像がかなり当たっていた。という話。

この説明が足りない。
確かに、本の中に、RSTの結果から、その人物の傾向を説明する箇所はあった。
しかし、RSTを依頼した企業も驚くほどの評価がなぜできたのかが分らない。
本書内で、ソロバンの上級者は、なんとなく答えが出てくるが、理論で考えたものでは無いため、数学は得意では無いという話があったが、著者は、RSTから導かれる人物像を理路整然と説明できるのであろうか?
もしもそれができるのなら、それを指導すれば、企業の人事部であっても、塾の講師であっても、受験者個人であってもRSTの結果解釈が可能となるであろうし、
この部分をコンピューターに行なわせることもできるだろう。

その結論への導き方を説明できれば、新たな知見との合流も可能となる。

今のところ、属人的で、いくら当たっていると言われても、この部分でRSTを評価することができない。

 

今のところ、RSTは高校や大学の偏差値との相関性の高さから、潜在偏差値を計るテストである。という以上の価値は無い。

 

将来的には、
・6つの読解力の内、これが低い場合は、この問題集をお勧めします。
・この人の学習法、この学校、この塾、このアプリにおいて、読解力の向上が確認されています。
といった形になっていくのだろう。

 

RSTの英語版が出てくることにも期待を抱いている。
著者には学習法よりもそちらに期待をしている。
見せかけだけのTOEIC高得点が無意味になり、本当に英語が分る人が明かになれば良いと思う。
その上で、日本の英語の学習・教育法も変化していくだろうし、世界に影響を与える可能性すらある。
世界で、もまれることにより、RSTの真価がはっきりとしてくるのではないだろうか?
是非、是非、やっていただきたい。


最後に、一言。
読解力と大学との偏差値に相関があるのであれば、
日本の今の官僚の現状を鑑みるに、
読解力向上だけで日本が良くなるとも思えない。
読解力は読解力で頑張っていただくとして、
我々には、足りないものが別にあるのだとも思う。

 

なお、この文章は、勢いで書いているので、後で、そっ…消しされるかもしれない。