東京百舌

二枚舌ならぬ百枚舌です。適当なこと言います。人が言わないことを言うのが努力目標です。言いっ放しです。あしからず。

リーディングスキルテストと6つの読解力

まず、理解しておいて欲しいこと
まず、理解しておいて欲しいことは、
人工知能“東ロボくん”に高校生受験生のおよそ8割が破れている」
という事実です。

なにが問題なのか
人工知能“東ロボくん”やリーディングスキルテストに関わった新井教授は、読解力に注目しています。

この読解力は、6つに分けられます。
係り受け」「照応」「同義判定」「推論」「イメージ」「具体例」
の6つです。

このうち、“東ロボくん”が得意なものが、
係り受け」「照応」「同義判定」
で、

“東ロボくん”が苦手なものが、
「推論」「イメージ」「具体例」
です。

では、人間は、どうなのでしょうか?
実は、リーディングスキルテストにおいて、人間でも同様な結果が出てしまいました。
人間も、“東ロボくん”と同様に「推論」「イメージ」「具体例」が苦手なのです。

さらには、「係り受け」の一部の問題で、進学校の高校生でも3割が間違えるという結果が出てしまいました。

また、中学生も、単にキーワードをピックアップしてマッチングする程度の読みしかしておらず、教科書を読めていない可能性が強くなってきました。
リーディングスキルテストの結果から、
「中学生の半数が教科書を読めておらず、15パーセントは、主語すら分かっていない」ことが明かになってしまったのです。
当然ながら、暗記と計算に関して、人間はコンピューターより劣る状況です。

今まで言われてきた
「機械は暗記や計算が得意、だけど、人間は機械ができない"意味"が分かる」
という認識が、リーディングスキルテストによって怪しくなってきました。

2つに大別される読解力
読解力は、「係り受け」「照応」「同義判定」「推論」「イメージ」「具体例」の6つからなります。これらの能力は各々独立した能力です。

6つの読解力の説明は以下の通りです。

係り受け―― 語句の間にある「修飾する」「修飾される」関係の理解
「照応」―― 指示語や省略された主語が何を指しているかの理解
「同義判定」―― 二つの文が同じ意味かどうかの判断
「推論」―― 論理や常識を使って文章を読み解けるか、文章で書かれていない部分(省略されている部分)を理解できているか
「イメージ」―― 文章と図表が対応しているか
「具体例」―― 定義と具体例が対応しているか


これら6つの読解力は、2つに大別されます。

文の表層的な情報を読み取れる能力として「係り受け」「照応」「同義判定」
文の意味を理解できる能力として「推論」「イメージ」「具体例」

人間も機械も、「文の意味を理解できる能力」である「推論」「イメージ」「具体例」が苦手であることが分かっています。

そして、中学生においては、「文の表層的な情報を読み取れる能力」である「係り受け」の正答率は64.5パーセントです。つまり3割以上の生徒に問題があることも分かっています。「文の意味を理解できる能力」である「具体例」の正答率にいたっては33.7パーセントしかありません(最後の方にデータがあります)。

こういったことがリーディングスキルテストを通じて分かってきました(繰り返しますが、この文章の最後の方にデータがあります)。

リーディングスキルテストの実例
係り受けの問題例:
仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカオセアニアに、イスラム教は北アフリカ西アジア中央アジア、東南アジアにおもに拡がっている。オセアニアに拡がっているものは(  )である。

「照応」の問題例:
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。Alexanderの愛称は(  )である。

これは、英語の教科書の注釈部分だそうです。
そしてこの正答率は、中学生で4割だそうで、「注釈も読めないのに、英語の勉強どころではないでしょう」という話になります。

「同義判定」の問題例(その1):
以下の文を読みなさい
「輸出が伸び悩む中でも、和牛が人気の牛肉や、和食ブームを反映した緑茶や日本酒などは好調だ。」
上記の文が表す内容と以下の文が表す内容は同じか。「同じである」「異なる」のうちから選びなさい。
「輸出が伸び悩む中でも、和食ブームを反映した日本酒や緑茶、和牛が人気の牛肉などは好調だ。」
   「同じである」  「異なる」

「同義判定」の問題例(その2):
以下の文を読みなさい。
「幕府は、1639年、ポルトガル人は追放し、大名には沿岸の警備を命じた。」
上記の文が表す内容と以下の文が表す内容は同じか。「同じである」「異なる」のうちから選びなさい。
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。」
   「同じである」  「異なる」

中学生の約4割が誤答したそうです。

「推論」の問題例:
ヨーロッパは日本より相対的に緯度が高いので、夏の昼の時間が長い。
ヨーロッパの夏の夜の時間は、日本に比べてどうか?

「イメージ」の問題例(その1):
原点Oと点(1,1)を通る円がX軸と接している図を選べ

この問題ができない生徒がいることを知ったとき、教科書関係者が「これ以上、どう書けばいいっていうんだ」と頭をかかえたそうです。

「イメージ」の問題例(その2):
四角形の中に黒でぬりつぶされた円がある絵を選べ

「具体例」の問題例:
以下の文を読みなさい。
白玉6個、赤玉3個が入っている袋から玉を同時に4個取り出した。
上の文に当てはまるものを選択肢の中から全て選びなさい。
1.取り出したのは白玉3個であった。
2.取り出したのは白玉4個であった。
3.取り出したのは赤玉4個であった。
4.取り出したのは赤玉1個と白玉3個であった。

リーディングスキルテストでは、問題を再利用するために、公表される問題文はあまりないようです。

また、問題文については、テスト結果と比べながら、良質な問題文かを確認しているようです。
ここで言う「良質な問題文」とは、「回答者にとって良質な問題文」では無く、「読解力の低い者を識別するのに精度の高い問題文」「読解力の高い者を識別するのに精度の高い問題文」を指しているようです。
詳しくは『デジタライゼーション時代に求められる人材育成』をお読みください。

中高生の成績の推移
問題タイプの正答率(カッコ外)およびランダム解答の生徒の割合(カッコ内)(単位:%)
デジタライゼーション時代に求められる人材育成』より

  (1)係り受け (2)照応認識 (3)同義文判定
中1 56.4(44.6) 55.4(46.5) 67.3(58.1)
中2 58.4(40.5) 55.9(42.6) 71.8(52.5)
中3 64.5(29.3) 66.8(24.4) 74.7(41.8)
高1 82.0(6.7) 82.1(5.8) 87.5(17.0)
高2 86.4(3.5) 81.3(10.4) 88.7(12.5)
高3 87.5(3.0) 86.9(2.2) 90.5(8.5)
       
  (4)推論 (5)イメージ (6)具体例
中1 50.6(68.4) 26.4(57.7) 23.6(62.1)
中2 54.0(58.9) 28.6(45.4) 25.4(56.6)
中3 57.9(49.9) 36.3(34.5) 33.7(41.4)
高1 67.9(32.9) 51.1(16.8) 49.1(19.3)
高2 69.7(29.5) 57.7(10.4) 50.0(8.5)
高3 74.9(19.1) 53.2(4.4) 51.3(14.3)

リーディングスキルテストではすべての問題が択一または複数選択式なので、ランダムに答えを選んでもある確率で正解しうる。各問題タイプについて、公立中学1年生から3年生および、進学率がほぼ100% の高校1年生から高校3年生までの正答率、および正答率がランダム解答より良いとはいえない生徒(以下、ランダム解答)の割合を統計的に求めたものが表である。

すべての問題タイプについて、ほぼ、高い学年ほど正答率も高く、ランダム解答の生徒の割合が低いことがわかる。このことは、中高生は学校および生活の中で各タイプの読解能力を伸ばしていることを示すともに、リーディングスキルテストのテストとしての妥当性を示している。

こで注目すべきが、AIが射程に入れている(1)から(3)の問題タイプに比べて、意味理解なしに解くことが難しい(4)から(6)の問題タイプの正答率の方が悪く、ランダム解答の生徒の割合が高いという点である。まさに、(略)AI に代替されやすいような読解力の身に着け方をしている生徒が少なからずいると考えられる。

全体的に、リーディングスキルテストの成績が、中学3年生から高校1年生になる時点で上がっているのは、
リーディングスキルの能力が上がったからでは無く、能力が低い生徒が進学できなかったことを意味していると考えられています。
「具体例」を見ると、中学卒業時において、正答率がほぼ3分の1(33.7%)、高校卒業時において、正答率がほぼ半分程度(51.3%)だということが分かります。
高校を卒業した人でも「具体例」が分からない人が半分程度いるのです。

原因や解決策
これらの原因や解決策はまだ分かっていません。
教師からは、「語彙力の不足(分からない単語が出ると挫折する)」「文章を最後までしっかりと読めない」などの指摘があがっていますが、これらが、どの程度影響しているのかは分かりません。
また、「イメージ」に関しては、言語の図表化、図表の言語化、を生徒に課して、鍛える教師も現れているようです。
そんな、現場の教師の努力で、テスト結果がある程度良くなった学校も出てきているようです。

 

リーディングスキルテストを受けるには・・・

以下のリンクから申し込んでください。

受検のご案内 - 教育のための科学研究所

 

参考にしたURL等
https://twitter.com/sho_yokoi/status/798083441493323776
http://www.nira.or.jp/pdf/opinion31.pdf
https://mainichi.jp/articles/20170926/ddm/013/100/002000c
https://news.yahoo.co.jp/byline/yuasamakoto/20161114-00064079/
http://www.nii.ac.jp/userimg/press_20160726-2.pdf
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B7%B8%A4%EA%BC%F5%A4%B1
リーディングスキルフォーラム
その他

リーディングスキルフォーラムに行ってきて

11月2日のリーディングスキルフォーラムでは、新井紀子教授と一緒に涙を流した人もいたのではないでしょうか?

あの時、何を語られていたのかは忘れてしまいましたが、私ももらい涙した一人です。

会場でリーディングスキルテストの結果が悪い学校のデータを見せる前に「これ、事前に言っておきますけど、笑わないでください」「見ると笑い出す人がいるんですけど笑わないでください」と言っていましたが、
出てきたデータを見て、私は確かに笑いそうになりました。もう笑うしかないといった感じでした。

さらに、もっと悪い学校のデータを見せる前に、「笑わないでください」「笑うと私怒りますから」「笑わないでください」と何度も言っていました。

「こんなひどい結果の学校だと、ひどい生徒たちだろうと皆さん思われるかも知れませんが」「でも、そんなことないんです」「私、会いに行きました」「みんな良い生徒たちなんです」「そんな生徒たちに私、聞かれるんです」「どうすればいいんですか、と」

「私、これで金儲けするつもりは無いんです」「"東大ロボットを作った教授が教える読解力を鍛える本"なんて書けば儲かるかも知れません」「でもそんなことする気はないんです」

「ある学校で、先生が ”これは遺伝子ですよね” と言ったんで、私、その場で怒ったんです」「今も一生懸命に学力向上に取り組んでいる学校もあるというのに、何ですか!それは!」

 

どういう気持ちで取り組んでいるのかは、少しは分かったような。
リーディングスキルフォーラムに行けて良かったです。

 

※ 記憶で書いているので、文言は正確ではありません。

フクシマと腐海

www.asahi.com

へのコメントで

非常に不謹慎だが、ナウシカ腐海を思わせた。植物の生命力ってすごいなあ。そして、原発事故は絶対に忘れてはいけないな、と思った。

というのが、あった。

元々、腐海の誕生のキッカケが、水銀汚染された水俣湾だったという話があって、
当時、水俣病有機水銀で汚染された魚介類を捕れなくなった水俣湾には、人が魚を捕らないので、魚や牡蠣が増えて、人にとっては、毒の海なのだけども、生命感にあふれて、
そういったことを宮崎駿が知ったときに、腐海のイメージができあがったという話を読んだことがあって、
だから、このコメントは、宮崎駿の感覚と近いと思う。

チェルノブイリもそうだけど、生き物が多ければ、人も住めるというわけでも無いし、
たぶん短命系の生き物が生命を謳歌しているのだと思う。

汚染がある地域では、長期間生きると、影響が出てくるのではないだろうか?水俣では、毒がたまって、ネコも苦しんだのだし。

先ほど「長期間生きると、影響が出てくるのではないだろうか」と書いたけれど、もしかしたら「長期間そこで世代として生きると、影響が出てくるのではないだろうか」とも考えられる。

汚染がある地域では、外から生命が次々と入ってきて、豊かな自然に見えるかも知れないけども、長期間の生命サイクルをそこで回すと、影響が出てきて、脱落していき、抜けたところに、また、外から生命が次々と入ってきて、全体として見ると生命感にあふれて見えているだけかも知れない。

水俣などの化学汚染がある地域では、ネコが魚を食べて水俣病を発症して脱落していっても、外から見れば、ネコたちが多くいて、ネコたちの楽園で、生命感にあふれて見えたかも知れない。

放射能などの汚染がある地域では、長期間そこで世代交代している内に、遺伝子が傷ついてきて、脱落していったとしても、外から次々に入ってくるので、全体としては生命感にあふれて見えるかも知れない。

もし、福島で脱走した、牛や馬や豚が、一時繁栄したのに消えてしまったら、そういうことだと思う。
もう一度、送り込んでも、また、消えてしまったら、確実に、そういうことだと思う。

ただ、家畜たちが去勢されていたら子孫が残せないだろうから、滅びを待つだけで、消えても当たり前で、汚染の影響か区別はつきにくいかも知れない。

企業や警察に関して、最近分からないこと

最近分からないこと

東芝は、不正会計をしていましたが、これが分からなかった方が幸せであったのでしょうか?陽気なサザエさんと共に明るく暮らせていたのでしょうか?社長も明るい顔をして、次の社長にバトンタッチして、社員も明るい顔をして、退職していけたのでしょうか?

富士ゼロックスでは、会計をごまかそうとしました。よく分からないのは、ルール違反をしてごまかした方が、会社の成長に貢献したのでしょうか?副社長は内供告発をうるさがっていたようですが、これが保身か、会社のためかが、いまいち分かりません。ルール違反は株主の不利益だからダメなのか、企業の成長を阻害するからダメなのか、その両方か・・・?

・レイプもみ消し疑惑で、証拠がそろって、逮捕状も出て、なのに逮捕直前での上からの指示で逮捕ができないのならば、レイプよりも凶悪な事件でも、こういうことが起こりうるものなのでしょうか? また、これが可能ならば、もっと軽微な事件のもみ消しはあり得るということですよね(そういえば今年の7月に事件になっていました)。

リーディングスキルテストの簡単な説明

リーディングスキルテスト(RST)ってなんですか?

小学生・中学生・高校生を対象にした読解力(どっかいりょく)テストのことです。
30分くらいのテストです。

読解力(どっかいりょく)とは、「文章を読みとく力」のことです。

 

リーディングスキルテストの特徴は?

問題文の中に答えが書かれていることです。

 

リーディングスキルテストで何が分かるの?

どれだけ教科書を読めているのかが分かります。

ちなみに、このテストの高得点者の多くは偏差値が高い高校へ進学できます。

 

どんなテスト問題か知りたい!!

リーディングスキルテストの実例と結果(平成27年度実施予備調査)』
http://www.nii.ac.jp/userimg/press_20160726-2.pdf
をみてください。

 

問題文が分かりにくいです。

その文が読めないと勉強することがむつかしくなるようなものを、問題文にしています。
分かりにくい問題文かも知れませんが、この問題文が読めていない人は、教科書が読めていない人になります。

 

リーディングスキルテストは、いつからあったのですか?

2015年から予備調査として始められています。
2017年9月の時点の発表では約二万四千人がテストを受けています。

 

リーディングスキルテストが話題なのはなぜですか?

このテストにより、おとなが思っていた以上に、子どもが教科書を読めていないことが分かったからです。
おとなは、おどろいています。

 

おとなになったら、良い点数がとれるのですか?

まだ、はっきりとしたことは分かっていませんが、
おとなでも、間違えることが分かっています。

 

どうやったら、良い点がとれるのですか?

まだ、はっきりとしたことは分かっていません。
今後、分かってくるものと思われます。

 

リーディングスキルテストの点数が悪いと何が問題なの?

教科書が読めないと、勉強ができません。
マニュアルが読めないと、仕事ができません。
問題文が読めないと、運転免許などの資格試験が取れません。
契約書が読めないと、泣き寝入りするかもしれません。

ですから読解力は必要なのです。


私の学校でリーディングスキルテストを受けたことがありません。

あなたの学校が、リーディングスキルテストを申し込んでいないからだと思われます。
先生に聞いてみましょう。

 

リーディングスキルテストのホームページはないんですか?

こちらにあります。

www.s4e.jp

過労死を止める方法

過労死や過労自殺を止める方法は、これらを食中毒と同じ扱いにすればいいのではないか?
つまり業務停止命令を出すということ。
大企業であろうとも、NHKであろうとも、2日間業務を停止するとか、その部門に関する業務を1週間停止するとかの処置でもとらないと、解決しないのではないだろうか?

放送法4条「政治的に公平であること」は、その違反が認められれば、業務停止を言い渡すことができるそうだけれど、始めは、放送関係からでもいいから、そういった法律に追加でもしないと解決しないように思う。

また勤怠の実態が違った場合、自動車の偽装と同じような扱いにすればいいのではないか?
罰則として、数階層上までのブラック上司たちの業務を一ヶ月停止させるだとか。そうなると、その間に職場に居場所が無くなる可能性があるから抑止力になると思う。
減給よりも効果があるかも知れない。
「逃亡の可能性」ならぬ「労働の可能性」から上司を逮捕勾留するとか。業務時間がオーバーした社員を上司もろとも逮捕拘留するとか。

学校だってそう。働き過ぎの先生を教頭校長もろとも逮捕拘留すれば、学校も対応を考えざるをえないだろう。

だが、これが個々人や学校の問題では無く、文部科学省の制度的な問題であった場合は、どうなるのだろう?
この場合の解決方法は分からない。。。

人工人類誕生の経緯

●数学と進化
数学の考え方と、人の感覚にズレが出ることがある。
例えば、確立を使って、馬券や株で勝負すると、勝ち負け込みでトータルで勝利するという数学的な考え方に対して、人の感覚が出てくると、負けが数回続くと、間違えているように思えて方向を変えてしまう場合がある。

2倍2倍で増えていくという数学的な考え方も、人の感覚とズレたりしている。最後のほうの加速を人は見誤り、「まだ、半分もいっていないし大丈夫だろう」ととらえてしまう。

昔の人類であれば、こういった数学的な感覚は必要なかったのであろう。
こういうのが必要になったのは、人類が地球に影響を与えるほどの存在になったことと関係する。

●もはやドラゴンは怖くない
人類の文明科学が発展して、もはやドラゴンは怖くなくなった。
別にミサイルを使わなくとも、人が持てる武器でもドラゴンを倒せるものは いくらでもある。
だから、この今の時代に描かれるモンスターは、かなり強力だ。現実離れした怪物を出さないと、空想の世界においても怪物に居場所は無い。

●欲と人類
今や、あらゆる欲は、その歯止めなく、欲するままに手に入れられるようになった。
甘いもの、高カロリー、酒、タバコ、麻薬、・・・、そういった一定量を超えると、体が悪くなるもの、もしかしたら一定量に関係無く体を蝕むものも、欲しいままに手に入れられる。

動物であったころの人類にとって、欲に歯止めはいらなかった。食べれるときに食べれば良かったし、平均寿命も今の半分以下だった。

だが、今は、違う。人類は自らの欲をコントロールする必要が出てきた。ブレーキのついていない人類に、ブレーキを取り付ける必要が出てきた。

●人類の進化
ある程度までの進化は、環境への適応で進めれたが、
あるところからは、人類が自ら、自分の遺伝子に手を加えて、急激に進化していくのかも知れない。
ここでいう進化とは、IQとか運動能力とか寿命とか、その時点で認識できる最良の遺伝子を取り入れた人類が作られるという話である。

今の人類は、密閉された部屋で、火を起こし、火薬や毒を使おうとしているようなものである。すでに、地球は汚染され始めている。すでに、現代文明の気候への影響も一般人にすら感じられるレベルになってきている。今の科学を人類は扱いきれていない。
そのため、欲を制御し、今の科学が及ぼす影響を理解できる人類の数が増える必要がある。自然に任せるとそのスピードは遅いので、遺伝子操作か、その他の何かか、科学的な取り組みが必要になってくるのではなかろうか?

ただ、初期のそういった遺伝子を操作された人類は、今の遺伝子操作の技術が未熟なので、後戻りできない欠陥を抱える可能性がある。分かるころには手遅れで、その分かるころというのも、数百年後になるのかも知れない。
だから、オリジナル人類は常に残しておいたほうが良い。

そうなると、オリジナル人類に自分の家系を入れたがる政治家や富裕層も出てくるのではなかろうか。そして一方で、とんがった遺伝子操作をした人物を自分の家系から出して、世界に関わろうとするのではなかろうか。

●最後に
酒が好きで、ギャンブルが好きで、身を持ち崩す人を我々は、バカにできない。
彼らと我々の間に大した違いなどはない。